子どもを褒めて育てましょう、という言葉は聞きなれた感じがします。

また、子どもの側にしても「自分は褒められて伸びるタイプ」だと思っている人は多いと思います。

運動会のかけっこで一番だった、

ピアノの発表会で間違うことなく弾けた、

算数のテストが100点だった、

スイミングスクールの進級テストに合格した、

そんな時に「すごいね!」「やったね!「頑張ったね!」と親が笑顔になって喜び、褒められると、

子どもは嬉しくなり、また頑張ろうという気持ちになります。

一方で、「褒められるのは嬉しい反面、なんだか怖くなってしまう」という子ども達がいます。

これはどういうことなのでしょうか。

「褒められる行動をしないと、自分は生きる価値がない」

「褒められると、それを続けるしかなくて、どんどん追い詰められてしまう」

という感覚になって、

褒められれば褒められるほど、自己肯定感が下がっていくという残念なことが起こっているのです。

よくあることだと思いますが、
なにか頑張った時、良いことをした時、成績が上がった時に、親は褒めます。

それを繰り返すと、子どもの内側では「頑張ったから」「良いことをしたから」「成績が上がったから」という条件付けの愛情ができてしまうことがあるのです。

もちろん、親の側にはそんなつもりはなく、どんな時も子どもへの愛情があり、大切な存在という思いを抱いています。そして、それは普段ことばにしなくても伝わっているものだと思いがちです。

その思いが子どもに伝わらず、あるいは奥底に追いやられてしまうことで、
子どもは頑張れない時、失敗した時、成績が下がってしまった時、

「自分はダメな人間なんだ」

「親に愛されていない、嫌われてしまうんじゃないか」

「自分は必要とされていないんだ」

という感覚になり、

「褒められることをし続けないと、自分には生きる価値がない」と思うようになってしまいます。

褒められる自分に◯(マル)、できない自分に×(バツ)をつけることが、自分自身の存在そのものにマルやバツをつけることになりかねません。

そこから、不登校や摂食障害、リストカットなどにつながることもあります。

では、褒めない子育てをすればよいのか、というと、それも少し違います。

「あなたが今、ここに(生きて)いるだけで嬉しい」

「あなたが(できても)できなくてもいい」

「そのままのあなたが大好きだよ」

失敗した時や頑張れない時にこそ甘えさせて(褒めて)もらって、

そのままの自分が愛されているというメッセージを受け取ると、

子どもは安心して、またやる気が出てくるのです。

赤ちゃんが生まれた時「生まれてくれてありがとう」という思いを抱いていませんでしたか。

何もできない赤ちゃんがここにいてくれるだけで、世の中が明るくなります。

赤ちゃんだった子どもは、なんども転んだり、バランスを崩したりしながら歩けるようになりました。

お母さんやお父さんが見守ってくれている安心感があるから頑張れるのです。

あの時の感覚を忘れずに、子どもに無条件の愛情を伝えていきたいですね。